昨日の会話を、明日のAIが覚えている。
それだけで、すべてが変わります。
ChatGPTやClaudeと話していて、「昨日話したあのことを、今日はまた一から説明しないといけない」—— そんな経験はありませんか?
AIアシスタントは、基本的に「一回の会話」の中でしか物事を覚えていません。ブラウザを閉じたり、新しい会話を始めたりした瞬間、昨日までの記憶はすべてリセットされます。
これが、AIを「毎日使う道具」にするうえで最も大きな壁でした。たとえば、仕事でAIにレポートの下書きを手伝ってもらっていても、翌日には「このレポート何だっけ?」から始めないといけない。AIに自分の好みや過去の経緯を教え込むのに、毎回30分かかる。そんな状態では、AIを本気で使い込むのは無理ですよね。
claude-mem は、このAIの「健忘症」を完全に治す、記憶の外部装置です。
「前回こういう話をしましたよね?」と毎朝説明し直す日々。AIはあなたのことを覚えていないので、関係は深まらない。
AIが昨日のこと、先週のこと、先月のことを覚えている。作業を再開すると「あ、続きですね」と自然に始まる。
技術的に言うと、claude-memはClaude Codeという、Anthropic社が作ったAI作業ツールに「追加インストール」する小さなプラグイン(拡張機能)です。普段の作業内容を自動でコッソリ記録しておき、次に話しかけたときに「必要な部分だけ」を思い出させてくれます。
claude-memは、AIアシスタントに「日記」を書かせ、次に会ったときに「昨日の日記を読んでから来てね」と頼むしくみ、です。
ただの便利機能ではありません。AIとの付き合い方そのものが、根本から変わります。
毎回「このプロジェクトは〜で、目的は〜で、今ここまで進んでいて…」という前置きが不要に。AIが勝手に思い出してくれます。
AIが自分の過去の発言を覚えているので、「前回の方針でいこう」「この前のアイデアに戻って」といった会話が成立します。
昨日やり残した作業を、今日の朝そのまま再開できる。「どこまでやったっけ?」とAIに聞くと、ちゃんと答えてくれます。
あなたが「覚えておいて」と言う必要はありません。勝手に書き留め、勝手に思い出します。まるで秘書のように。
記録してほしくない内容は <private> というタグで囲むだけ。プライバシーはあなたの手の中に。
「あのとき、どうやって解決したっけ?」を自然な日本語で検索。AIが過去の記録から答えを見つけてきます。
「記憶があるAI」と「毎回はじめましてのAI」。
一度前者を体験すると、後者には戻れません。
インストールの前に、次の2つが揃っているか確認してください。どちらも無料で手に入ります。
Mac、Windows、Linuxのいずれでも大丈夫です。普段使っているパソコンでOK。
Anthropic社の公式AIアシスタントアプリです。これの「追加機能」としてclaude-memを入れるので、先にこちらが必要です。
Claude Codeの公式サイト(claude.com/claude-code)にアクセスして、「Download」ボタンからダウンロードできます。Anthropicのアカウント(無料、メールアドレスだけで作れます)が必要です。この手順は3〜5分ほどで終わります。
Claude Codeを起動して、画面にClaudeとの会話ウィンドウが出ればOKです。そのまま次のステップへ進んでください。
Claude Codeの会話画面に、文字を3回入力するだけです。むずかしい操作はいっさいありません。
インストールしたClaude Codeをダブルクリックで起動します。
画面の下の方に「何でも聞いてください」のような入力欄が表示されているはずです。ここに文字を打ち込んでAIと話します。普段はここで質問したり頼みごとをしたりしますが、今回は特別なコマンドを入力します。
以下のステップで入力する文字はすべて /(スラッシュ)から始まります。これは「通常の会話ではなく、Claude Code本体への命令です」という目印です。
入力欄に、次の1行をそのままコピーして貼り付け、Enterキーを押してください。
> /plugin marketplace add thedotmack/claude-mem
これはClaude Codeに対して「thedotmack さんが公開しているプラグインの棚を覗きに行くよ」と伝える命令です。棚が登録されるだけで、まだ何もインストールされていません。
成功すると、「Added marketplace」のようなメッセージが返ってきます。
「コマンドが見つかりません」と出る場合は、Claude Codeが最新版か確認してください。また、/(半角スラッシュ)で始まっているかも確認。全角の「/」では動きません。
続けて、もう1行入力してEnter。
> /plugin install claude-mem
これで、先ほど追加した棚から claude-mem という商品を取り出して、実際にあなたのパソコンにインストールします。初回は少し時間がかかります(30秒〜2分ほど)。インターネット経由でファイルをダウンロードしているからです。
完了すると「Installed claude-mem」のようなメッセージが出ます。
いちどClaude Codeを終了して、もう一度起動してください。
再起動は、claude-memの「記憶装置」がClaude Codeの中で正しく作動するために必要です。パソコンの再起動ではなく、Claude Codeというアプリだけを閉じて開き直します。
起動したら、会話ウィンドウの上のほうに 「Context from previous sessions」 のような表示(過去のセッション情報)が出るようになります。これが出ていれば、記憶装置は正常に動いています。
これでインストールは完了です。この瞬間から、あなたのAIは「記憶する」ようになりました。もう特別な操作は必要ありません。普段通りClaudeと話すだけで、記憶が勝手に蓄積されていきます。
claude-memの最も美しいところは、何も操作を変える必要がないこと。普段通りClaudeと話すだけで、すべてが自動で動きます。
claude-memをインストールした後は、Claude Codeを使うたびに裏側で次のことが自動で起きます。
あなたは何もしなくていいんです。いつも通り、AIに話しかけるだけ。
たとえば、月曜日にAIと一緒にレポートを書いていたとします。火曜日にClaude Codeを開いて、こう話しかけてみてください。
> 昨日のレポートの続きをやりたい。どこまで進んでた?
claude-memがない普通のAIなら「何のレポートですか?」と聞き返されます。claude-memがあれば、Claudeは昨日の記録を自動で読み込んでいるので、「第3章まで書き終えて、第4章の構成を練っている途中でした」と即座に答えます。
もっと積極的に過去を振り返りたいときは、こんな話し方もできます。
> 先月、旅行の計画について話したよね? あのときの候補地をもう一度教えて
Claudeは内部で mem-search という記憶検索機能を使って、過去の膨大な会話ログから「旅行」「候補地」に関連する部分だけを取り出し、あなたに返してくれます。まるで自分専用の日記検索のように。
「記録されるって聞くとちょっと不安…」そう思う方も大丈夫。claude-memには、記録させない方法もちゃんとあります。
会話の中で「これは記録に残したくない」という部分があるときは、そのテキストを <private> と </private> で挟みます。
> 新しいパスワードを考えたい。 > <private>今使ってるのは1234abcd</private> > これを参考に、もっと強いものを3つ提案して。
この <private> で囲まれた部分は、AIはその会話の中では読むけれど、記憶には一切残さないという動作になります。パスワード、個人情報、機密情報などを扱うときはこれを使ってください。
claude-memの記録は、すべてあなたのパソコンの中だけに保存されます。どこか遠くのサーバーに送られたり、他人が見られる場所に置かれたりすることはありません。
記録の実体は、あなたのパソコンのホームフォルダ(ユーザーフォルダ)の中にある .claude という隠しフォルダに格納されています。不要になった場合、このフォルダを削除すれば記録は消えます。
claude-memは「ローカル」で動きます。つまり、あなたのパソコンの中だけで動作します。Anthropic社(Claudeを作っている会社)との通常の会話データとは別の、あなた専用のログです。
claude-memには、ウェブブラウザで自分の記録を見られる「ビューワー」も付属しています。AIに検索させるだけでなく、自分の目で整理もできます。
claude-memをインストールして使い始めると、裏側で小さな「記憶サーバー」があなたのパソコンの中だけで立ち上がります。ブラウザ(Safari、Chrome、Edgeなど)を開いて、アドレスバーに次の文字列を入力してEnter。
http://localhost:37777
localhost とは「このパソコン自身」という意味です。つまりこのアドレスは、あなたのパソコンの中だけにある記憶の棚の入り口。ほかの人からはアクセスできません。
ブラウザに、過去のセッション一覧、観察記録、要約などが見やすく表示されます。自分がいつ何をやっていたか、タイムラインのように振り返ることができます。
この画面を「AIと一緒に過ごした日々の日記」として眺めるのもおすすめです。「あ、先週こんなことで悩んでたんだ」という発見があったり、「このアイデアもう一度検討したい」と気付けたりします。
初めてのインストールで戸惑ったときのために、よくあるトラブルと解決方法をまとめました。
インターネット接続が不安定だと、ダウンロードが途中で止まることがあります。一度 Claude Code を閉じて、Wi-Fiなどのネットワーク状態を確認してから、もう一度 /plugin install claude-mem を実行してみてください。
claude-memは「プラグイン」としてインストールされるので、Claude Codeが古いバージョンだと動作しない場合があります。Claude Code を最新版にアップデートしてから、もう一度試してください。
初回はまだ記憶がないので、当たり前ながら何も表示されません。1〜2回、普通にClaudeと会話をしてから、もう一度 Claude Code を開き直すと、そこから記憶が蓄積され、表示されるようになります。
いちど全部リセットしたいときは、パソコンのホームフォルダにある .claude フォルダの中を確認してください。claude-mem関連のデータベースファイルを削除すれば、記録はクリアされます。ただし元には戻せませんので、自信がなければいじらないほうが安全です。
解決しないトラブルがあったら、公式ドキュメント(docs.claude-mem.ai)の Troubleshooting ページを確認してみてください。英語ですが、ブラウザの翻訳機能で十分読めます。
友人から聞かれやすい質問を、あらかじめまとめておきました。
claude-mem自体は完全に無料のオープンソースソフトウェアです。ただし、Claude Codeの利用にはAnthropic社のAIの利用料が別途かかる場合があります(無料枠もあります)。claude-memを入れたことで追加料金が発生することはありません。
いいえ。claude-memの記録は、あなたのパソコンの中だけに保存されます。Anthropic社に余分なデータが送られるわけではありません。Claude Codeを使う通常の会話と同じレベルのデータ送信しか発生しません。
使えますが、記憶はそれぞれのパソコンで別々に蓄積されます。MacとWindowsの両方に入れた場合、Macで覚えたことはWindowsのAIは知りません。同期機能は今のところ標準装備ではありません。
基本的に、削除しない限りずっと残ります。容量の心配は通常ありませんが、何年分も溜まってくるとパソコンの空き容量を圧迫する可能性はあります(といっても、数MB〜数十MB程度のテキストデータなので微々たるものです)。
Claude Codeの中で /plugin uninstall claude-mem と入力すれば、プラグインは削除されます。記録されたデータだけは自動では消えないので、完全に消したい場合は .claude フォルダの中の関連ファイルを手動で削除してください。
Gemini CLI(Google製)や OpenCode など、いくつかの他のAIツールにも対応しています。ただし最もよく動作するのはClaude Codeです。まずはClaude Codeで使ってみて、慣れてきたら他のツールに広げていくのがおすすめです。
直接Claude に「その記憶は間違いです。実際はこうでした」と伝えれば、AIは新しい情報を上書きして覚え直します。記憶の修正も、普通の会話の中で自然にできる設計になっています。
大丈夫です。あなたが日本語でAIと話せば、記憶も日本語で蓄積されます。英語を触る必要があるのは、公式ドキュメントを読むときくらいです。しかもブラウザの翻訳機能で十分読めます。
今日から、AIはあなたを覚えている。